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銀河鉄道999(ぎんがてつどうスリーナイン)は、松本零士先生によるSF漫画を原作としたアニメ作品で、1978年から1981年にかけて放送されました。この作品は、未来の宇宙を舞台に、主人公の星野鉄郎と謎の美女メーテルが銀河超特急999号で旅をする物語です。以下に、その魅力とストーリーの概要を紹介します。
「銀河鉄道999(スリーナイン)」は、星野鉄郎の成長物語であり、彼を見守り導く謎めいた女性メーテルの物語でもあります。しかし、彼女が物語の中でどのような心情を抱き、鉄郎の成長をどのように見ていたのかについては、作中で明確に語られることは少なく、その背景には深い思索の余地があります。
本記事では、メーテルの視点に焦点を当て、鉄郎との旅を通じて彼女が何を感じ、何を思っていたのかを考察します。

銀河鉄道999 親知らず星のUFO 帰れなかった息子と、待ち続けた父の『親子の絆』 <ネタバレあり>
導入:親知らずが疼いてから同じ名前の星に降り立つ。
銀河超特急999号が次に停車したのは、妙な名前の「親知らず星」。急停車の拍子に親知らずの痛みに悩まされた鉄郎は、メーテルとともにこの星に降り立つ。理由の明かされないこの停車駅は、にぎやかながらも奇妙な雰囲気に包まれていた。
駅の周囲には多くの親たちが集まり、それぞれの息子の名前を叫びながら通りすがる若者を見つめている。ここは、遠い星に夢を求めて旅立った子供たちの帰りを、何年も待ち続けている親たちの集まる星だった。
息子と間違われた出会い、そして語られる過去

代理の息子となった鉄郎
駅前で鉄郎は、旅館の主である腰に腹巻を巻いた年配の男性に「テツオ!」と呼び止められる。長年息子を待ち続けていたその男性は、鉄郎を我が子と勘違いし、涙ながらに抱きしめる。戸惑いつつも鉄郎はその気持ちを否定できず、しばし“息子”として時間を過ごす。
鉄郎が肩を揉み、父を元気づけるシーンには、今の感覚では少し古風に映る価値観もある。だがそこにあったのは、敬意といたわり、そして他人でありながら一瞬だけ家族になれたような不思議な温かさだった。
本物のテツオが語ったもの

やがて、鉄郎の前に“本物のテツオ”が現れる。彼は自分が奴隷の星で過酷な労働を強いられていたこと、仲間が死んでいったこと、自分も命の危機を感じて逃げ出し、その過程で人を殺してしまったことを語る。
テツオは背を向け、奴隷の証を刻んだ背中の傷を見せて立ち去る。彼の行動が正しかったかどうかは、誰にも断言できない。だが彼の語った過去が、まぎれもない“生きるための証”だったことは、視聴者に深く問いかける。
再会と報告、言葉にならない感情
つかの間の帰郷
鉄郎の導きでテツオは両親と再会を果たす。ずっと待っていた父親と母親のテツオとの再会は鉄郎が代理のテツオをしていた時と同じ掛け合いをして息子ならではの回答をするところは感動の展開に思いました。
去る女調査員

一方、奴隷の星から来たテツオを追ってきた女調査員は、テツオのUFOの爆発を確認し、「報告に戻る」と言い残して星を去っていく。彼女がどういう思いでそれを言ったのかは、鉄郎たちにはわからなかった。
変わりゆく時代と、変わらない思い
昭和的な親子像の尊さ
「帰ってくるまで待つ」――そんな言葉が当たり前だった時代がある。自分を信じてくれている場所があること、それ自体が子供にとっての希望だった。テツオの父も、そんな思いで息子を待ち続けていた。
令和の視点で読む親子の距離
鉄郎が“代理息子”として父に尽くす場面や、父の強さを促す描写には、現代の視点から見ると一歩引いてしまう読者もいるかもしれない。だがその行動には、押しつけではなく、他人の想いを受け取ろうとする優しさがあった。
価値観は移ろっても、「誰かを信じて待つ気持ち」や「戻る場所があることの安心感」は、今も変わらず心に残るテーマだ。
まとめ:親知らずの痛みとともに、旅は続く
再び999号に戻った鉄郎は、冒頭と同じように親知らずの痛みに顔をしかめる。だがその表情は、少しだけ優しくなっていた。
ただの虫歯ではない、“人と人の痛み”に触れたあとだからこそ感じる痛み。鉄郎の旅は続く。だが彼の中には、確かにひとつの「家族の形」が刻まれたのだった。