銀河鉄道999と「銀河鉄道の夜」は繋がっている
松本零士の名作「銀河鉄道999」と、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。この2つの作品には、タイトルだけでなく深い関係性があることをご存知でしょうか。実は松本零士は、「銀河鉄道の夜」から大きなインスピレーションを受けて銀河鉄道999を創作したのです。この記事では、銀河鉄道999と銀河鉄道の夜の関係性について、共通するテーマや象徴、そして松本零士が宮沢賢治から受け継いだものを詳しく解説していきます。
松本零士が語った「銀河鉄道の夜」との繋がり
銀河鉄道999と銀河鉄道の夜の関係について、松本零士自身が明言しています。
「宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に登場する蒸気機関車が星空を走るというイメージに、強いロマンを感じた」―松本零士
このコメントが示すように、銀河鉄道999は「銀河鉄道の夜」へのオマージュとして生まれた側面があります。星空を走る蒸気機関車という幻想的なビジュアルは、両作品に共通する最も印象的な要素です。
「銀河鉄道の夜」とは?あらすじを簡単に
銀河鉄道999との関係を理解するために、まず「銀河鉄道の夜」のあらすじを確認しましょう。
物語の概要
「銀河鉄道の夜」は、宮沢賢治が1924年頃から執筆した童話で、賢治の死後に発表されました。主人公の少年ジョバンニは、ある夜、親友カムパネルラと共に銀河鉄道に乗り込み、宇宙を旅します。
- ジョバンニ:貧しい家庭の少年、孤独を抱えている
- カムパネルラ:ジョバンニの親友、やがて消えていく存在
- 銀河鉄道:天の川を走る幻の列車
- 旅の終わり:カムパネルラとの別れ、成長への第一歩
物語の最後、カムパネルラが実は溺死していたことが明かされ、銀河鉄道の旅は「死後の世界への旅」だったことが示唆されます。
銀河鉄道999と銀河鉄道の夜の共通テーマ
銀河鉄道999と銀河鉄道の夜には、多くの共通するテーマがあります。
1. 別れと喪失
両作品とも、主人公は大切な存在との別れを経験します。
- 銀河鉄道の夜:カムパネルラとの永遠の別れ
- 銀河鉄道999:メーテルとの別れ、母との死別
この「別れ」を通じて、主人公は成長していきます。「銀河鉄道999 メーテルの正体とは?謎の美女に隠された驚愕の真実」でも、メーテルとの別れの意味について解説しています。
2. 命の儚さと尊さ
銀河鉄道999と銀河鉄道の夜はどちらも、命の有限性をテーマにしています。
- 銀河鉄道の夜:死というものの存在を描く
- 銀河鉄道999:永遠の命(機械化)を否定する
宮沢賢治が「死があるからこそ生は輝く」というメッセージを込めたように、松本零士も「限りある命こそが尊い」というテーマを銀河鉄道999で描きました。
3. 少年の成長物語
両作品とも、旅を通じて少年が精神的に成長する物語です。
「ほんとうの幸せとは何か」という問いを抱えたジョバンニと、「本当に欲しいものは何か」を探す鉄郎。二人の少年は、旅の中で答えを見つけていく。
異なる点:希望と絶望のコントラスト
銀河鉄道999と銀河鉄道の夜には、異なる点もあります。
結末の違い
「銀河鉄道の夜」は、カムパネルラの死という悲しい現実で幕を閉じます。一方、銀河鉄道999では、鉄郎は生身の体のまま地球に帰還し、新しい未来へと歩み出します。
- 銀河鉄道の夜:喪失の悲しみを抱えたまま終わる
- 銀河鉄道999:別れを乗り越えて希望を持って終わる
松本零士は、宮沢賢治の「別れの悲しみ」を受け継ぎつつも、「その先にある希望」を描くことで、物語を前向きなものにしました。「機械の体を求めて旅立つ少年 – 銀河鉄道999が描く成長物語」では、鉄郎の成長について詳しく解説しています。
蒸気機関車が宇宙を走るロマン
銀河鉄道999と銀河鉄道の夜を繋ぐ最も象徴的な要素が、「蒸気機関車が宇宙(銀河)を走る」というビジュアルです。
なぜ蒸気機関車なのか
未来の宇宙を舞台にした銀河鉄道999で、なぜ時代遅れの蒸気機関車が走っているのでしょうか。
- ノスタルジー:過去への郷愁、人間の温かみ
- ロマン:SFとファンタジーの融合
- 宮沢賢治へのオマージュ:「銀河鉄道の夜」への敬意
- 対比:機械文明への批判と人間らしさの象徴
999号がC62形蒸気機関車をモデルにしていることも、この「レトロフューチャー」な世界観を支えています。
よくある質問(FAQ)
Q1: 松本零士は宮沢賢治のファンだったのですか?
A: はい、松本零士は宮沢賢治の作品を愛読していました。特に「銀河鉄道の夜」に描かれた蒸気機関車が星空を走るイメージに強いロマンを感じ、それが銀河鉄道999の着想につながったと語っています。
Q2: 「銀河鉄道の夜」を知らなくても銀河鉄道999は楽しめますか?
A: もちろん楽しめます。ただ、「銀河鉄道の夜」を読んでおくと、銀河鉄道999の世界観やテーマをより深く理解できます。両方を知ることで、松本零士が込めたオマージュにも気づけるでしょう。
Q3: 他にも宮沢賢治の影響を受けた要素はありますか?
A: はい、「ほんとうの幸せとは何か」という問いは両作品に共通しています。また、旅の途中で出会う人々との交流を通じて主人公が成長していく構造も、「銀河鉄道の夜」から受け継がれた要素です。
Q4: メーテルはカムパネルラに相当するキャラクターですか?
A: 直接的な対応関係ではありませんが、「主人公と旅をし、最後に別れる存在」という点では共通しています。ただし、メーテルは生きていて別の使命のために去っていくのに対し、カムパネルラは死者として旅をしていたという違いがあります。
Q5: 「銀河鉄道」というモチーフを使った他の作品はありますか?
A: はい、宮沢賢治と松本零士の影響で、「銀河鉄道」は日本文化において特別なモチーフになりました。アニメ「銀河鉄道物語」や、様々な楽曲、小説などで「銀河鉄道」のイメージが使われています。
まとめ:2つの名作を繋ぐ「星空を走る列車」
銀河鉄道999と銀河鉄道の夜の関係は、単なる「タイトルの類似」を超えた深い繋がりがあります。松本零士は宮沢賢治から「星空を走る蒸気機関車」のロマン、「別れと喪失」のテーマ、「命の儚さと尊さ」のメッセージを受け継ぎ、そこに「希望」という新たな要素を加えて銀河鉄道999を創り上げました。銀河鉄道999と銀河鉄道の夜、両方を味わうことで、日本が生んだ2つの名作の魅力をより深く理解できるはずです。「銀河鉄道999: 時を超える名作の魅力とその影響」もあわせてお読みください。
あわせて読みたい関連記事
参考文献・引用元
- 松本零士「銀河鉄道999」原作漫画(少年画報社、1977-1981年)
- 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」(岩波書店)
- テレビアニメ「銀河鉄道999」(フジテレビ系列、1978-1981年)
- 劇場版「銀河鉄道999」(東映、1979年)

