宇宙を走るSL――銀河鉄道999号のモデル「C62 48」の秘密
銀河鉄道999の最大の魅力の一つは、宇宙空間を走る蒸気機関車という斬新な設定です。この999号のモデルとなったのが、実在する名機「C62 48」です。なぜ松本零士は、未来の宇宙を舞台にしながら、レトロな蒸気機関車を選んだのでしょうか?この記事では、C62 48の歴史、999号との関係、そして鉄道ファン必見の豆知識を徹底解説します。
C62形蒸気機関車とは?日本最速のSL
C62形蒸気機関車は、1948年から1949年にかけて製造された日本国有鉄道(国鉄)の旅客用蒸気機関車です。「貴婦人」の愛称で親しまれ、日本の蒸気機関車の中で最も優美なデザインとされています。
C62形の特徴
- 最高速度:時速129km(日本の蒸気機関車では最速記録)
- 製造両数:49両
- 主な運用:東海道本線、山陽本線の特急列車
- 愛称:「シゴニ」「貴婦人」
C62形は、戦後の日本を代表する名機として、多くの鉄道ファンに愛されました。その流麗なフォルムと力強い走りは、まさに「貴婦人」の名にふさわしいものでした。
参考:日本国有鉄道「C62形蒸気機関車」運用記録(1948-1975年)
「C62 48」が特別な理由
C62形の中でも、48号機は特別な存在です。なぜなら、この機体こそが銀河鉄道999号の直接的なモデルだからです。
C62 48は、1949年に川崎車輌で製造されました。主に東海道本線で運用され、特急「つばめ」や「はと」を牽引しました。1975年に引退した後、北海道の小樽市総合博物館(旧・小樽交通記念館)に静態保存されています。
C62 48の経歴
- 1949年:製造(川崎車輌)
- 1949-1970年:東海道本線で運用
- 1970-1975年:北海道の函館本線で運用
- 1975年12月14日:引退
- 1976年〜:小樽市総合博物館に静態保存
現在でも小樽で実物を見ることができ、銀河鉄道999ファンの「聖地巡礼」スポットとなっています。
なぜ松本零士は蒸気機関車を選んだのか?
未来の宇宙を舞台にした物語で、なぜ時代遅れの蒸気機関車が使われているのでしょうか?松本零士自身が語ったところによると、これには深い意図がありました。
蒸気機関車を選んだ理由
- ノスタルジア:宮沢賢治「銀河鉄道の夜」へのオマージュ
- 浪漫:機械とアナログの美しさの融合
- 対比:機械化社会への批判として、あえて「人間味のある機械」を選んだ
- 象徴:過去と未来を繋ぐ「時間を超えた存在」としての蒸気機関車
松本零士は幼少期、九州の小倉で実際の蒸気機関車を目にして育ちました。その体験が、999号のデザインに大きな影響を与えています。
「銀河鉄道999: 時を超える名作の魅力とその影響」では、松本零士の創作背景についてさらに詳しく解説しています。
999号とC62 48の違い
999号は基本的にC62 48をモデルにしていますが、いくつかの違いもあります。
主な違い
- 色:実物は黒、999号は黒と金色のツートンカラー
- 装飾:999号にはより華やかな装飾が施されている
- 車両構成:999号は客車が長く、豪華列車仕様
- 推進方式:実物は石炭、999号は「反物質エンジン」で動く
999号の金色の装飾は、「銀河を走る特別な列車」であることを強調するためのデザインです。また、客車内部は豪華なコンパートメント仕様で、長距離宇宙旅行に対応しています。
参考:松本零士「銀河鉄道999」設定資料集より
鉄道ファン必見!C62形の豆知識
ここからは、鉄道ファンなら知っておきたいC62形の豆知識をご紹介します。
豆知識集
- 「シゴニ」の由来:C62の「6と2」を「シゴニ」と読む鉄道ファン用語
- 最後の特急牽引機:1968年10月、東海道本線から蒸気機関車が引退する際、最後を飾ったのがC62形
- 動態保存機:C62 2号機と3号機が現在も動態保存され、イベントで走行可能
- 世界記録:1954年、C62 17号機が時速129kmを記録し、狭軌蒸気機関車の世界最速となった
- 北海道での活躍:引退間際、多くのC62形が北海道に転属し、函館本線で活躍した
「アンドロメダ終着駅までの999の停車駅 – 重要な寄港地を振り返る」では、999号の旅路について詳しく紹介しています。
銀河鉄道999と鉄道文化
銀河鉄道999は、日本の鉄道文化とも深く結びついています。作品の影響で、多くの子どもたちが鉄道に興味を持つようになりました。
銀河鉄道999が鉄道文化に与えた影響
- 蒸気機関車保存運動の活性化
- 鉄道博物館の来館者増加
- 「鉄道と宇宙」を組み合わせた新ジャンルの創出
- JR各社での999コラボイベント開催
特に北海道では、999号のラッピング列車が運行されたり、小樽市総合博物館でC62 48と999号のコラボ展示が行われるなど、作品と実在の鉄道が融合したイベントが多数開催されています。
聖地巡礼スポット――C62 48に会える場所
銀河鉄道999ファンなら一度は訪れたい、C62 48の保存場所をご紹介します。
小樽市総合博物館(北海道小樽市)
C62 48は現在、小樽市総合博物館に静態保存されています。屋外展示のため、間近で見ることができます。また、博物館にはC62形以外にも多数の蒸気機関車が保存されており、鉄道ファンには堪らないスポットです。
- 住所:北海道小樽市手宮1-3-6
- 開館時間:9:30〜17:00(季節により変動)
- 休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
- 入館料:一般400円、高校生・市内在住70歳以上200円、中学生以下無料
「銀河鉄道999 メーテルの正体とは?謎の美女に隠された驚愕の真実」では、作品の聖地情報も紹介しています。
よくある質問(FAQ)
Q1: C62 48は今でも走れますか?
A: C62 48は静態保存のため走行できません。ただし、C62 2号機と3号機は動態保存されており、イベント時に実際に走行することがあります。
Q2: 999号とC62 48の大きさは同じですか?
A: 基本的な大きさは同じですが、999号はアニメ作品のため、演出上少し大きく描かれることもあります。実際のC62形は全長約21.5メートルです。
Q3: 銀河鉄道999の影響で保存されたのですか?
A: C62 48は1975年に引退し、1976年から保存されています。銀河鉄道999の連載開始は1977年なので、保存自体は作品より前です。ただし、作品の人気により保存機への注目度が大幅に上がりました。
Q4: 他にもC62形を見られる場所はありますか?
A: はい。全国各地の博物館や駅前に保存されています。主な場所は、梅小路蒸気機関車館(京都)、真岡鐵道(栃木)、JR北海道などです。
まとめ:999号に込められた「鉄道への愛」
銀河鉄道999号のモデルとなったC62 48は、単なるデザインの元ネタではありません。松本零士の鉄道への深い愛情と、過去と未来を繋ぐ象徴として選ばれた特別な存在です。宇宙を走る蒸気機関車という奇想天外な設定が、多くの人々の心を掴んだのは、そこに「浪漫」があったからでしょう。小樽でC62 48の実物を見れば、999号への想いがさらに深まるはずです。
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参考文献・引用元
- 松本零士「銀河鉄道999」原作漫画(少年画報社、1977-1981年)
- 日本国有鉄道「C62形蒸気機関車運用記録」
- 小樽市総合博物館「C62 48号機保存記録」
- 鉄道ジャーナル「特集:C62形蒸気機関車」各号

